丸うは小田原で復活していた──2026年、本店は早川『あじめい』にあり

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小田原蒲鉾御三家の一つ、丸う。

これが途絶えてショックを受けたのは今から6年前。
それから一時の復活にぬか喜びをしたのは5年前。

小田原浜町の老舗は今や跡形もなくなり、二度とあの味は食べられない、時代は変わったのだ。

と思っている方へ、

丸うは今でもありますよ。

「ネットでしか買えない」「もう店頭では売っていない」など、さまざまな情報を見かけますが、実際には丸うは小田原に本店があり、旧来のレシピを受け継いだかまぼこが、今も対面販売されています。

この記事では、丸うの本店「あじめい」を訪れ、実際に丸うのかまぼこを購入してきましたので、ご紹介します。

早川、あじめいへ

丸うは、いろいろあって現在は早川にあります。
「あじめい」という土産物屋さんが、現在は丸うの本店になっています。

小田原駅からも頑張れば徒歩30分ほどで行けます。
「30分はちょっと……」という場合は、早川駅か箱根板橋駅から歩けば10分ほどです。

国道135号線から少し入った坂道沿い、早川漁港のすぐ近くにあり、風向きによっては磯の香りが漂ってくる場所です。

近づくと、丸うの旗がはためいているので、すぐに分かります。

あじめいの外観

あじめいから受ける印象は、小田原蒲鉾御三家という呼び名から想像する、「超老舗の風格」というより、普通の商店といった雰囲気です。

ガラス戸を開けると、大きな冷蔵ショーケースがL字型に置かれ、壁際にも品物が賑やかに並んでいます。

「こんにちは~」と声をかけると、店主のおじさんが出てきてくれました。

仲良く並んだ、丸うと他のかまぼこたち

「丸うのかまぼこが欲しいんですが」

「それだったら、これ。」

おじさんがショーケースの中で指さしたのは”丸うかまぼこ”。
白が数本、赤が一本積まれています。
全体的に品物はどれもゆとりを持って陳列されていて、籠清や鈴廣のように種類が多い印象とは少し違います。

「今は丸うはこの一種類だけなのかな?」

と思ったら、その横に二本組、さらに伊達巻と、他にもいくつか丸うと書かれた品物がありました。

横には違うメーカーである山上のかまぼこもありました。

ここは丸う本店でありつつ、土産物屋の「あじめい」でもあるので、他のかまぼこ屋の商品も並んでいるのです。

品数はほどよくあるし、メーカーが統一されていないので迷いそうだと思ったら、ところどころに「これおすすめ!」の札。

分かりやすくなっていました。

かまぼこ談議

「じゃ、これを一つください。」

「はい、これですね。」

おじさんは、おすすめのかまぼこをショーケースから出してくれました。

「かまぼこと言えばグチの旨味、丸うと言えばそれが濃い」

「調味料や混ぜ物があって、グチの率が普通は3割くらい、まるうは7割」

それはすごい。倍以上。

と思ったら、今取ってくれたおすすめかまぼこの横に、「グチ100パーセント」と書かれた丸うのかまぼこが。

「あれ?こっちは100パーセント」

と私が言うと、

「そう、それは高級だから、お正月とかにね。」

『売っているのに、おっちゃん高いほうを勧めないんだ。まあ予算的にも今日は超特撰でなくていいんだけど』

超特撰1本3,240円!グチ100パーセント

そう思いながら、昔の丸うと何か違いがありますかと聞いてみました。

「レシピはそのまま。だからそのまま、丸うのかまぼこ。」

「そうなんですね。こちらにはいつ来てもだいたいありますか?」

「ありますよ。」

「午後になったら売り切れちゃうとか。」

「それはもう、切れないように、多すぎないように。ね。」

今度は紅白の違いを聞いてみました。

「違いは色。あとは別に。売れるのは白、白が普通に売れる。赤はめでたいときとか、お正月とか。」

ははあ、かまぼこといえば赤というイメージもあるけど、一つ選ぶならこれからは白を選ぶのが通なんだな、と思ったとき、

「でも、赤い部分を気にしなければ同じだし、赤ならひとつで紅白にもなりますね。」

紅白を一つで済ませちゃう?
そういう考え方もあるのかと思いました。

かまぼこ食い方談議:うまい食べ方の伝授

おじさんがショーケースを開けたので、ガラスが曇り始めました。

今度は絶対グチ100%を買いに来ようと思いながら覗き込んでいると、

「かまぼこのおいしい食べ方、知ってますか?」

「いえ、ぜひ教えてください。」

「とにかく厚く切ること。1cmかそれ以上。1.2とか1.3とか気にしなくていい、とにかく1cm以上。それを更に縦半分に切る。」

「切り方がそんなに大事なんですか?」

「大事。厚みがあると噛み応えと弾力が違う。噛むうちに感じる旨味も違う。縦半分に切るのもちょうどいいんです。」

前回籠清では切り方のこだわりは聞けなかったので、思いがけず良い情報を得て、ラッキーな気分でした。

「そしてまずは何もつけずに一切れ食べる。そしてよく噛んで、それからあとはお醤油とか、わさびとか好みで。」

「そうですか!そんなに厚さが大事だったとは!これまで見様見真似で切ってたから、考えたこともありませんでした!」

「お客さん、おいしいから是非そうやって食べてみて。とにかく1cmですよ。かまぼこが高級だからって、つい薄く切りがちだけどそれは絶対だめ。とにかく厚く。って、ガッテンで言ってたから。」

え?

あ、ああ。

た〇して、ガッテンね……。

わさび漬け

今度は「丸うはわさび漬けもありますか?」と、ますます曇ったガラスを覗きながら聞きました。

「丸うのわさびはありませんねえ。」

見ると、ショーケースの水滴越しに、すごくおいしそうなわさび漬けが見え隠れしています。

でもこれは丸うではないので、おじさんは、私が今日は丸うだけを買いに来たと思っているのか、立ったままニコニコしているだけで、やっぱり勧めません。

わさび漬け好きの私は、なぜかここは我慢するのだ、という気分になり、

「あ、じゃあ、丸うの塩辛は?」

「ありますよ。ほら、こっちのこれとこれ。」

さっと動いておじさんが指さした先を見ると、ショーケースの左端に、なにやら二種類の瓶が並んでいました。

曇って、もはやほとんど見えない。

するとおじさんはふきんを渡し、

「ふいてふいて」

と言いました。

「まるうの塩辛は生造りと麹造りと……」

その後、談議は塩辛の方に移っていきましたが、今回はかまぼこのご紹介なので、それはまた次回にしましょう。

この先の塩辛談議が気になる方はこちらをご覧ください。→小田原の塩辛2種を食べ比べ:山善と丸うはどっちを買えばいい?

毎日丸う商品への問い合わせがある件

丸うのかまぼこは、他にどこで手に入るのか聞いてみました。

「小田原では、他にはないですねえ。お正月とかになるとデパートに置かれたり、あとは注文ですね。」

「丸う無くなっちゃったと思ってる方が今も多いんですよ。だいたい毎日電話で1~2件、『丸うのかまぼこ売ってますか?』って問い合わせがあります。」

「あと、毎日一人か二人、車で表の旗を見かけて、『丸うってまだあったんですか!?』って、飛び込んでくるお客さんがいます。今日もさっき一人そういう人が来たばかり。」

「こういう袋は、だんだん最後になってくるけどね…」

おじさんは私の選んだかまぼこを、丸う田代から引き継いだ貴重な唐草模様の白い紙袋に、目を細めながら大事そうに入れました。
そして、

丸うはここにちゃんとありますよ。

そう言うと、店の奥にしまってある立派な丸うの看板を、ゆっくりとした目配せで示してくれました。

店内に大切に管理されているかつての看板や道具類

丸う本店(あじめい) 基本情報

■所在地
神奈川県小田原市早川二丁目18番地の8

■営業時間
9:00~17:00(日・祝定休)
※丸う公式サイトより

■電話番号
0120-552-923(丸う本店)

こちらの情報ボックスは、株式会社丸うの本店としての、あじめいの情報になります。丸うへのメールでのお問い合わせはinfo@maruu.comへと、公式に案内されています。

あじめいに実際に訪問される場合は、営業時間等の変更等がある場合がありますので、事前に店舗へご確認ください。→0465-23-0626(あじめい、電話番号)

あじめいの公式インスタグラムはこちらです。

丸うのかまぼこ(1cm厚)を実食

購入したのは、小田原丸う蒸しかまぼこ・白

内容量240g、賞味期限は購入日から数えて10日後の日付になっていました。
価格は税込み1,944円。(店主さんによると5,000円以上購入で300円引き)

※これらは2026年9月の時点ですので、随時変更になる可能性があります。

袋も貴重、丸うかまぼこ

あじめいで小さな保冷剤を入れてもらいましたが、かまぼこを買いに行くときは自分でも保冷剤を持っていくので、自宅に着いたときも、かまぼこはしっかり冷えていました。

包装を開けても、特に強い香りはしません。鼻を近づけると、ほのかな魚のいい香りがしました。
これなら、お節のお重箱に詰めても、ほかの料理の邪魔にならなくてちょうどいい感じです。

表面は、てらてらツヤツヤしているわけではなく、自然な光沢が少しある程度です。

長さはだいたい12.5cm、高さはおよそ3cm。

ということは、店主さんに教えてもらったように1cm以上の厚さで、更に縦にも切っていけば、かなり食べ応えのある切り分け方になります。

籠清で学んだ集中力を頼りに、あじめいで指南を受けた1cmの厚さ、そしてさらにそれを縦に半分に切り分けました。

いざ、実食。

これ、この切り方が通

籠清への訪問記はこちらからご覧いただけます。→小田原の老舗「籠清」へ|代々親しんできたかまぼこを改めて味わう

口に入れた瞬間、厚みの意味が分かりました。

頬張る感じなのです。
ほごっと口に入り、そのあと、ほぐほぐほぐ、と食べる感じ。

そうしているうちに、旨味がじわっと伝わってきます。

これまでも、かまぼこを薄く切ったことはありませんでした。
でも、1cm以上を意識して切ったこともありませんでした。

実際にこの厚さで食べてみると、厚く切った方が、断然いい。これは店主さんに教えてもらわなければ、たぶん気づかなかったでしょう。

旨味強めに感じました。
全体として、すでに味が完成されているという印象です。

食感はややこりこりとして、歯切れがいい。
箸でつまんだ感覚にも弾性を感じます。

これは……酒が進むのではなかろうか。一口目でそう思いました。

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まとめ

「丸うはもう無くなってしまった」と思っている人が少なくありません。

しかし、度重なる困難で行く先を失いかけてた丸うは、伍魚福との業務提携、そして現在の本店「あじめい」という拠点を得て、再び小田原でその名を掲げています。

店内には丁寧に保管された看板や道具類があり、旧丸う田代から引き継がれた唐草模様の紙袋が使われています。

それらを大切そうに扱いながら、丸うのことを話してくれる店主のおじさん。
その姿、そして連日丸うを訪ねて来る人があることから、長く続いてきた小田原丸うへの思いが、そうたやすくは人の心からも消えないことが伝わってきました。

私自身、「かまぼこは1cm以上の厚さで切ること」という、一生モノの教えまで得ました。
これからかまぼこを切るときには、きっとずっと思い出すことでしょう。

おじさんは最後に、近所の床屋さんが子供にあげるみたいに、飴玉を二つくれました。

温かくてなんだかまた来たい。
何度でも通いたい。

そんな気持ちにさせてくれるお店、それがあじめい、そして今の丸う本店です。


……さて、この記事で、

まるうは今も小田原に確かにあるということ、

お分かりいただけましたでしょうか?

「ガッテン!」

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