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山善と丸う

小田原塩辛でよく名前が挙がるのが、
- 幻の塩辛とSNSで騒がれる「山善」
- 小田原蒲鉾御三家の「丸う」
実店舗で買うなら、どちらも早川の「あじめい」で購入できます。
今回はこの2つを食べ比べつつ、お店の雰囲気や店主さんとのやり取りも含めてレビューします。
山善と丸うは「あじめい」で買える
あじめいは早川漁港のすぐ近くにある、昭和の面影が残る商店。
複数商品を扱う独立した土産物屋ながら、同時に丸うの本店でもあります。

山善塩辛も丸う塩辛も、ネット販売や不定期の百貨店催事を除けば、基本的にはここでしか買えません。
人というものは「ここでしか」「今だけの」に弱いものではないでしょうか。
だからそのここだけの品を是非いただきたいのですが、それが二種類もあるので、何かチョイスのヒントはないものかと、お店のおじさんに色々聞いてみました。
丸うのかまぼこについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。→丸うは小田原で復活していた──2026年、本店は早川『あじめい』にあり
塩辛談議:丸う編
「丸うの塩辛は生造りと麹造りと二種類あります。」
おじさんは蓋の色が赤と黒で異なる、二つの塩辛の瓶をショーケースから取り出してくれました。
「塩辛の日持ちは大体40日かそこらだったけど、今は冷凍もできるようになりました。だから長持ち。」
「塩分を強くしたんですか?」
「いやいや、逆に塩分控えめ。ほらここに書いてあるの見えます?ええと細かくて…、見えないな。でもとにかく5.2グラム。」
差し出された小瓶を見ましたが、ビンは水滴がついているし、最近の疲れ目で私も良く見えませんでした。でもとにかく5.2グラム。

「昔はもっと塩が多かった。減塩したけど日持ちが良くなったのは、入れ物が変わったからです。」
おじさんはカウンターの隅から、小田原提灯を模した空のプラスチック容器を持ち挙げ、これが昔の丸う塩辛の入れ物だと、見せてくれました。
『あ、なんかそっちの容器の方がカワイイ。そっちの入れ物のが欲しい』と一瞬思いました。
「もともとはこういうプラスチックの容器だったから冷凍はできなかった。それが、今は瓶入。だから冷凍も大丈夫。しかも塩分は控えめ。」
おじさんは小田原提灯をくるくる回しながら、にこにこと説明を続けます。
たしかに冷凍できるのは嬉しい。買い置きができる。それなら今日は丸うも山善も両方買えるかも。
『でも塩辛は塩気が強いからこそ旨いものだと思っていたなあ。減塩にしたら、小田原の伝統的なおいしさが薄れてしまうのでは?』
そう疑問に思い、おじさんに尋ねてみました。
「減塩は健康志向ですか?」
「そうですね。冷蔵庫もあってそういう時代だから。ところが塩を減らしてもおいしさは変わらない。そこが丸うならでは。しかも肝入りで美味しい。」
「え、肝が入っていない塩辛もあるんですか?」
「ありますよ。丸うは入ってる。ほら、見えます?ここに肝って書いてある。」
おじさんは自分は見ずに、また小瓶をこちらに差し出しました。
文字は私も見えていませんでしたが、「ああほんとだぁ」と答えました。
「あ、肝は上の方に入ってるから、食べるときは最初にきれいな箸で下まで丁寧に混ぜて下さいね。混ぜこまないと、下のほうの味が違っちゃうから。」
「なるほどぉ。」と答えながら、
内心『肝のない塩辛が世の中にあるなんて。肝入りでない塩辛なんて塩辛じゃないじゃないか!』と思いました。
これはもう今日は丸うの塩辛で決定かと思いましたが、このあじめいでは、「山善」という塩辛も相当有名。
ここまで来てそちらをチェックしないのも片手落ちなので、続けてお話を伺うことに。
塩辛談議:山善編
「こっちにも塩辛ありますね」と、ケースの右の方に置いてある山善の塩辛を指さしました。
ショーケースはこの時かなり曇ってしまって、品物がはっきり見えませんでしたが、お店に来た時からそこに山善と書かれた塩辛の瓶があることはチェック済みでした。
「それも人気ありますよ。ちょっと前まではそっちが一番人気。」
「今は違うんですか?」
渡されたふきんでショーケースを拭きながらのぞき込むと、瓶は「うす塩」「ゆづ味」となっていて、それぞれに「これおすすめ!」のポップが付いていました。
水滴を拭いても反射と疲れ目で、瞬時に全部とらえきれない。
よく見るとさらに隣にもう一種類「いか塩辛」があり、山善はあわせて三種類のようです。

「今も人気は高いですよ。ただどちらかと言えば、丸うの方が今は売れてますねえ。山善は値段が倍くらい違うでしょ。」
確かにどちらも片手で持てる大きさの小瓶で、丸うは1,080円、山善は1,950円。
「値段…。でも山善ってすごく人気がありますよね?」
「そりゃあ、こっちは箱根の旅館の懐石で長年使われてますしね。昔っからご愛顧いただいているお客さんもいて。」
「エスエヌエスではみんな伝説と言ってくれて、そういう事にもなってます。だけどまあ、普段から食べるには高級だから。どっちか、となると丸うを選ばれる方が多い。」
「山善はお正月とかに…?」
「それは好みですね。」
「ゆづ入りはやっぱり柚子の香り高いんですか?」
「つ」にてんてんなんだなあと思いながら聞きました。
こころもち「づ」を短くつめて発音してみましたが、おじさんは気づかなかったようです。

「いやいや。主に魚臭さを消してるんです。柚子の味と言うわけではないですよ。柚子を加えるから全体としていい風味になってるんです。」
「山善には肝は入ってるんですか?」
「肝は入ってないですよ。だから開けたらすぐに上から食べて構いません。」
「万人に受けそうな癖のなさでしょうか。」
「そうですねえ。上品な感じになってます。」
こちらは高級、箱根の懐石、伝説、固定客、上品…。まるでいいこと尽くし。
丸うと山善、ますます決められなくなりました。
試食
「試食できますよ。食べてみて下さい。」
そう言って、おじさんは丸うの生造りと麹造りの2種類を味見させてくれました。
(この日はわたしは丸うのかまぼこも購入したので、おじさんは丸うを主に紹介してくれている感じでした。実際、丸うでも生造りと麹造りで迷っていましたから、ちょうど良かったのです。)
生造りは、まさに“よく知っている塩辛の味”。
あ、これこれ、と我が家の茶の間に帰ってきたような安心感が口の中に現れました。
麹造りは、心持ちふんわりマイルドに感じました。
こちらは「お隣の食卓にお邪魔した」というような、少し新しい世界かな…。
どちらも美味しかったのですが、せっかくなら新しい世界を選ぶべきかと思い、丸うの麹造りを選ぶことにしました。
いわゆる「伝説の塩辛」と呼ばれている山善も、せっかくここまで来たので「ゆづ味」をいただいて帰ることにしました。
あじめい 基本情報
■所在地
神奈川県小田原市早川二丁目18番地の8
■営業時間
9:30~
※公式Instagramより
■電話番号
0465-23-0626
※こちらの情報ボックスは株式会社丸う本店としてではなく、土産物屋あじめいとしての情報になります。営業時間などの店舗情報、また製品の仕様は随時変更される場合があります。株式会社丸う本店・土産物屋あじめいと公式情報が複数ある場合は、最新の案内をご確認ください。
小田原は箱根の玄関口、鎌倉へも電車で約1時間ほど。どちらの観光地にもアクセスしやすい立地です。神奈川旅行の宿を、小田原あたりで探してみるのもお勧めです。
丸う塩辛と山善塩辛を食べ比べ
食べ比べと言っても、いっぺんに二つ開封して食べるのは不自然です。
日常でそんな食べ方をする人は、めったにいないでしょう。
そこでまず丸うの塩辛を開封し、普通に食事としていただいてみました。
丸う塩辛

内容量は150g、イカは輸入。肝臓は国産となっていました。
賞味期限は購入した日から数えて36日後になっていました。
開けてみると上は赤みを帯びた色で、お箸で丁寧に混ぜるとその色は薄まりました。
上にあった肝が、中に混ざっていったのでしょう。

いただいてみると、塩辛に持つイメージの「わっ、塩っ辛い!」というのとはまるで違い、麹のほの甘さを帯びていました。
そのままでも十分おつまみになりますが、やはり白いご飯に乗せると最高。
普段はおかわりをしないのに、気づけばお椀に二杯目をよそって、あっという間に完食してしまいました。
部位は、皮や吸盤の部分も自然に入っているようでしたが、硬いという事は全くなく、柔らかかったです。
気になるのは塩分ですが、一瓶を仮に10回に分けて15グラムずついただいた場合、一食当たりの塩分摂取量は約0.78グラム。
これは、一食で5グラムくらいの塩分を含むカップ麺などが珍しくないことを思えば、え、塩辛ってそんなものなの?と言う印象です。

山善塩辛

内容量は160g、イカは国産でした。肝の表示はありません。
ゆず、と書かれています。
賞味期限は、これも購入した日から数えて36日後になっていました。
開けるときに蓋が硬く、すこし手こずり、開けて覗くと色は丸うの麴造りよりも黄色がかっていました。
鼻を近づけた時に、魚のようなにおいを感じました。

いただいてみると、こちらは丸うより塩みを強く感じ、そしてほのかに柚子の風味がします。
おじさんは「柚子の味ではない。」と言っていましたが、かすかでも確かに柚子の味がし、それが上品さを纏わせている印象です。
蓋を開けて嗅いだ時の魚のようなにおいは、食卓にあげると全く感じず、また瓶に皮や足なしと書かれている通り、身はすべて均一の柔らかい白い身でした。

小田原へ旅行したくなったら、じゃらんで宿を探してみてはいかがでしょうか。
丸う・山善を選ぶヒント
今回あじめいを訪問してお話を伺い、丸う・山善の二商品をしっかりと食べ比べた結果、どちらを選ぶかのヒントは次のようになりました。
丸う
- 150g 1,080円
- 肝入り
- 麹造り・生造りなど選べる
- 店主さんによれば、最近はこちらの方がよく売れる
- 麴造りの色はやや赤
- 麴造りは塩気を強くは感じない
- 麴造りは甘さを感じてまろやか
山善
- 1,950円
- うす塩・ゆず味・いかの塩辛など
- 肝は入っていない
- 箱根の旅館の懐石で長年使われている
- 店主さんによれば、以前は特に人気が高かった
- ゆず味の色はやや黄色
- 塩気ははっきり感じる
- ゆず風味はほのかに感じる
どちらも白いご飯との相性は抜群で、食卓に一品加わるだけでご飯が大いに進みます。
山善・丸う塩辛まとめ

小田原の丸うと山善という二つの塩辛は、どちらも早川漁港のすぐそばにあるあじめいで手に入ります。
丸うは小田原の老舗蒲鉾メーカーで、一度入手が困難になった後に復活を遂げたブランド。
山善は箱根の旅館で懐石料理に長年使われ、“伝説”と呼ばれることもある塩辛です。
食べ比べてみると、甘み、塩気、まろやかさや柑橘の風味など、それぞれに確かに違いがあります。
どちらも魚臭さは感じず、食べやすく思いました。
価格は
丸う:150g/1,080円
山善:160g/1,950円
丸うが「安い」というよりお買い得で、山善は皮や足をよけた国産イカを使って特別感あり、という位置づけかもしれません。
小瓶サイズなので、自宅用には手頃な丸うが選ばれやすいのかもしれませんが、どちらも複数の味のラインナップがあるため、組み合わせ次第で価格調整もしやすく、どちらのブランドでも自宅用としても、贈り物としても十分成立すると思います。
日本の白米の消費量が落ちていると言われますが、食卓に塩辛を今より少し積極的に登場させてみるのも良いのでは、と感じました。
食べ物でもなんでも、組み合わせることで生まれる流れというものがある気がします。
何かを呼び戻したいなら、別の何かがその力を持っているかも。
ああ今夜も塩辛で、コメが食いたい。

丸うの現在の本店については、こちらの記事で詳しく紹介しています。→丸うは小田原で復活していた──2026年、本店は早川『あじめい』にあり

