小田原のういろう本家へ散策|薬とお菓子、喫茶と博物館で知る外郎の世界

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全国的に“ういろう”といえば名古屋を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし実は、「ういろうといえば小田原」という層が一定数いることをご存知でしょうか。

特に薬としてのういろうを愛用している人にとって、小田原は“ここでしか買えない特別な町”。
つまり彼らにとって、ういろうと言えば小田原なのです。

ただ、この薬のういろうは小田原の中でも本店でしか買えません。
駅や土産物店に並んでいるのはすべて“お菓子のういろう”で、薬のういろうとは別物です。

そのため、小田原駅でお菓子のういろうを見ただけでは、小田原には薬として有名なういろうがあり、それが室町時代から続く超ロングセラーであるという事実にはなかなか気づけません。

今回は、その小田原のういろう本店を訪れ、薬のういろう、お菓子のういろうを求め、そして併設の喫茶室と博物館まで巡りました。

ひとつの名前に重なる歴史や背景に触れながら、小田原の外郎家(ういろうけ)が守り続けてきた世界をのぞいてみた記録です。

■ ういろう本店のアクセス

  • JR/小田急/大雄山線「小田原駅」から徒歩約15分
  • 箱根方面行きバス「箱根口」停留所下りてすぐ

ういろう本店へ

お菓子のういろうも薬のういろうも、同じ1368年創業の老舗、株式会社ういろうの商品です。
小田原駅にも、また駅前にあるういろう調剤薬局にも、家伝の秘薬ういろうはおいていません。

あるのは本店だけ。
小田原駅から本店までは歩いて20分ほどです。

では早速行ってみましょう。

ういろう本店へ、小田原駅東口から出発

ういろう本店は、東海道沿いにあるお城のような建物。ここを目指します

ういろう本店の最寄り駅は小田原駅です。

東口から出たら、そのまま小田原駅東口交差点を、錦通り入り口交差点に向かって直進します。

下の写真はバスの発着所がある東口ロータリーを、駅の上から見たものです。
下りて右から回り込み、正面の大通りに沿ってアーケードの下を向こうへ進みます。(ハルネ地下街から出ることもできます)

ロータリーから大通りを進み始めると、間もなく左に時計が見えますから、そのまま行きます。
ちょうど小田原城への案内も足元に見えています。

お堀端通りへ

錦通り入り口交差点まで来たら、右へ曲がります。
お堀端通りへ入ります。

小田原城へ向かう案内の通りに進めばよい

そのままお堀端通りを直進しましょう。

小田原城を通過

やがて右手に小田原城、左に三の丸ホールが現れます。そのまま直進です。

お堀端通りから見た小田原城の堀。(桜の季節に撮影)
三の丸ホール

三の丸小学校も通過、御幸の浜交差点まで進む

右手に三の丸小学校が現れます。これも通過します。

右端が三の丸小学校

間もなく大通り(東海道)に出ます。
ここを右へ曲がります。(御幸の浜交差点)

交差点は渡らずに右へ

御幸の浜交差点の近くには、干物スタンド早瀬というユニークなお店もあります。
干物を焼きたてで楽しめたり、さばバーガーを味わえたりと、港町らしい空気が感じられる場所です。散策の途中に立ち寄るなら、こちらの記事もどうぞ。→小田原「干物スタンド早瀬」でさばバーガーを実食|干物も買える港町のおしゃれカフェ

ういろう本店に到着

そのまま進むと、のぼりがはためくお城風の建物が見えてきます。
ういろう本店に到着です。

道の反対側から撮った立派な外観

小田原ういろう本店は、薬と和菓子、喫茶に博物館もある!

ういろう本店に入ると、正面にお菓子のういろうのショーケースがあります。
大きいショーケースを覗きながら、お客さんが入れ替わり立ち代わり、お菓子を注文しています。

左奥の人が集まるところには白衣の薬剤師さんがいて、どうやらそこが”薬のういろう”のカウンターのようです。

入り口の右側は、併設の喫茶になっていました。

喫茶室

喫茶内から、本店の売り場を見た写真

喫茶の中は木と畳による内装で、20席ほどあり、おちついた印象です。

平日の午前中でしたが、既に一組入っていました。
すぐにスタッフさんがお冷とお品書きを運んでくれ、どのようなものがあるか簡単に説明をしてくれました。

メニューは上生菓子の他にぜんざいやわらび餅、パフェなどもありました。(季節ごとに異なる可能性あり)

上生菓子は数種類用意されていますが、菓子職人さんが書いたという説明書きもみせてもらえますから、写真とその説明を見ながら、好みのお菓子を選ぶことができます。

今回はその上生菓子とお抹茶のセットを頂くことにしました。

菓子は”ういろう・実梅”を選びました。

小田原と言えば梅も有名で、外郎の皮に白あんで熟した梅の実を表現し、しかも中には刻んだ梅の甘露煮が入っているとなれば、季節にもぴったりです。

上生菓子とお抹茶、1,100円(2026年6月)

お菓子のういろうを購入

喫茶で一休みした後は、目の前のカウンターでお菓子のういろうを選ぶことにしました。

最もオーソドックスなのは「白砂糖」。
昔ながらの風味に近い「黒砂糖」も人気とのことで、今回は黒砂糖を一棹購入しました。

お菓子の後はお薬も、その前にういろう博物館を見学

薬のカウンターは常に人だかり。
客の年齢層は高く、夫婦づれも多いようです。

お菓子を購入したので、お薬のカウンターにも回りたいけれど、皆さん相談もしながら品物を選んでいるようで、なかなか空く気配がありません。

そこで、ここに併設されているという”ういろう博物館”の見学をスタッフさんにお願いすると、奥の蔵にある「ういろう博物館」を案内してくれました。

ういろう博物館

蔵は、関東大震災でも倒壊しなかったという昔のままの建物。
靴をスリッパに履き替えて八畳ほどの内部へ上がります。

中には外郎家の歴史に関する資料、昔の薬づくりの道具や日用品、看板などが展示されていて、スタッフさんが丁寧に解説してくれました。

年季のはいった道具を見ながら、まさか今は昔のように人の手で生薬を擦ったりはしていないだろうと思い、今はどんな道具で作っているのか尋ねると、

「この敷地内で製造はされていますが、薬を作るところはスタッフでも見ることができないので分からないんです」

と笑いながら教えてくれました。

いよいよお薬を購入

今回の散策の目的のひとつは、ここでしか手に入らない万能薬「透頂香」を購入することです。

蔵から戻ると、ちょうど一組のお客さんが購入を終えたところでした。
次のお客さんが店内に入ってきたタイミングで、薬剤師さんの前に滑り込むと、

「どのような症状で薬をお探しですか」

と声をかけられました。

そろそろあちこちガタがきているので、いわゆる”万能薬”が欲しいという本心を、もう少し冷静に伝えねばと思い、

「ここ二日ほど咳が少し…。あと台風が近づくと息苦しくて…。胃腸は最近はまあいいですが、以前はよく痛くなったりして…。あ、親族にも頻繁にのどが痛いという者がいて…」

と、しどろもどろで答えてしまいました。

うそではありませんが診察に来たわけではなく、散策がてら茶でも飲み、せっかくだから常備薬を求めようか、というのが正確なところ。
「元気なのに買っちゃダメ!」と言われたらどうしよう、と一抹の不安もありました。

しかし薬剤師さんは落ち着いた声で、

「そしたらこちらの透頂香(とうちんこう=ういろう)を、気になった時に二、三粒のんでみてください」

と、まさにこちらが求めていた万能薬のイメージ通りの説明をしてくれました。

  • 141粒 1,650円(税込)
  • 428粒 4,400円(税込)
  • 728 粒 6,600 円(税込)

今回は428粒の箱をひとついただきました。

周りを見ると、大箱を数箱まとめ買いしている高齢のご夫婦や、知人にすすめられて県外から来たと語る女性もいて、薬のういろうの人気は、予測をはるかに超えていました。

もし小田原駅で「ういろう」と書かれたお菓子の張り紙だけを見ていたら、本店で薬のカウンターにこれほど人が集まっているとは想像できなかったでしょう。

喫茶に行列が

”薬のういろう・透頂香”を無事に購入し、ほっと胸をなでおろして店を出ようとしたとき、ふと喫茶室に目をやると、先ほどとは違って数人の行列ができていました。

喫茶室で和菓子を楽しみに来た人たちが、順番を待っています。
世代層はこちらも高め。

薬を買いに来た人、お菓子目当てで来た人、それから喫茶利用のために寄る人もいるのでしょう。

外郎家の喫茶室は、県内外からくる顧客以外にも地元の方にも人気があるようで、「お菓子のういろう」と「薬のういろう」の両方を求める人が行き交う店内は、まさに歴史ある城下町小田原ならではの独特の空気に満ちていました。

上生菓子は店頭販売もある。喫茶ではパフェも人気のようだった

この店が“薬屋”でもあり“菓子屋”でもあり“喫茶”でもあり、どの側面も人気を博しているという不思議な多面性を、改めて実感しました。

ういろうを開けてみる

昔子供の時分、何かの折にこの薬を飲ませてもらったことがあったのですが、どんな症状のときだったかはもう覚えていません。

久しぶりに袋を開けると、ふうっと漂うなつかしい香り。


ちょうど台風が荒れ狂う天気で、気圧差も寒暖差も激しく、のども腹も本調子ではなくなっていたので、「これはちょうどいい」とばかりに水で飲んでみました。

そういえば薬剤師さんが「のどが痛むときは飲み込まずになめるといいですよ」と言っていたことを思い出し、試しになめてもみましたが——

良薬、口に苦し。

口に含むと、小さな粒がいつまでも残って不思議です。
一説によれば、お菓子のういろうは、この苦い薬の“お口直し”として考案されたとも言われています。

なるほど、納得。

それならば、お菓子のういろうもいただかねばなるまい、と、渋い顔をしつつも内心ほくほくしながら、黒砂糖のういろうを切り分けました。

もっちり。
なのに、後味は重くない。

黒糖の風味がしっかりしているのに、甘さの主張は強くありません。
舌に残る甘さがすぐにほどけていきます。

先に飲んだ薬のういろうの苦味が、この黒糖のやさしい香りにゆっくり溶けて消えていきました。

見た目は羊羹のようですが、食感も甘みの感じも全く異なります。
砂糖菓子というより、やわらかい餅菓子に近い印象です。

小田原は日帰りも宿泊も楽しめる街。
ふるさと納税で使える旅行クーポンもあります。

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小田原ういろうのまとめ

ういろうという名前は、名古屋や山口、京都など全国で使われていますが、材料も食感も土地ごとにまったく違い、同じ“ういろう”でも別のお菓子のように感じられることがあります。

一方で、どのういろうも言葉の由来をたどると、室町時代に日本へ渡った外郎家の薬「透頂香」に行き着くとされ、薬と菓子が同じ名前を持つという不思議な歴史もあります。

その中で、今も薬としてのういろう「透頂香」を製造し続けている小田原はとりわけ特別です。

外郎家が代々受け継いできた伝家の秘薬ういろうは、今も本店でしか買えず、県外から訪れる人も多い人気の常備薬。

さらに本店には和菓子のういろうや喫茶室、外郎家の歴史を伝える小さな博物館まであり、駅から歩いて散策がてら寄るのにも面白い場所です。

菓子だけでなく、650年前の中国伝来の薬を今なお守り続ける老舗の営み、
それが、小田原のういろうでした。

小田原ういろう本店・基本情報

■株式会社 ういろう 本店
〒250-0012 神奈川県小田原市本町1-13-17 TEL(代)0465-24-0560

■定休日
毎週水曜日・第3木曜日 ※12月31日、1月1日も休業

■営業時間
10:00〜17:00 (喫茶室 L.O. 16:00)

■アクセス
・小田原駅東口から徒歩約15分
・箱根方面行きバス「箱根口」停留所下車すぐ

■駐車場
店舗横に15台分あり

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