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かまぼこと言えば「籠清」または「丸う」
それは、代々小田原・浜町に所縁のある我が家の暗黙の決まりでした。
これ以外の販売店のかまぼこを食卓に出そうものなら、もう大変。
「これ、どこのだ」と大騒ぎ。
近年は便利さから、近場のスーパーに並ぶものを選ぶことも増えていましたが、今回久しぶりに改めて籠清本店へ足を運んできましたのでご紹介します。
籠清とは

籠清(かごせい)は、1814年創業の小田原の老舗かまぼこ店です。
鈴廣、丸う田代と並んで“小田原かまぼこ御三家”と呼ばれています。
現在、多くのかまぼこは北洋産スケトウダラの冷凍すり身を使って作られていますが、籠清は今もグチ(イシモチ) にこだわり続けている、小田原かまぼこの代表的な存在です。
籠清本店に到着、時を止めたような趣のある建物
小田原駅からゆっくりそぞろ歩いて20分と少し。かまぼこ通りと呼ばれる見通しの良い道を歩いて行くと、海と反対側にまじめで趣のある店構えが現れます。
派手な色がどこにも使われていないので、お店は通り沿いにふいに現れる印象です。


初めて訪れた人には、「あれ?ここお店かな?」という印象を与えるかもしれません。
しげしげと見ると、入口中央には垂れ幕が下がり、その奥はガラスをはめた木戸、ひときわ趣のあるたたずまいです。
そして「籠清」の文字が。
古い小さな店かと思いきや、横には事務棟らしき建物が続き、道を挟んだ向かいには広い専用駐車場。
静かな雰囲気であるものの、規模の大きさを感じます。
昔ながらの造りの木戸を引いて、中に入ります。
小田原駅から籠清本店へ向かう途中には、小田原の見どころもあります。小田原城を初めて訪れる方には、駅から城の正面入口、天守閣までの歩き方をまとめたこちらの記事もお勧めです。
→ 小田原城の正規登城ルート完全ガイド|小田原駅から天守閣まで写真で迷わず歩ける
籠清の店内は
入ってすぐ、混みあう時の並び位置が床に記してありました。
にぎわう観光地を思わせる、雑多な人が殺到する行列の気配はそこだけで、あとは完全に老舗の落ち着いた内観です。
正面にはガラスのショーケースにかまぼこが間隔を空けて丁寧に陳列され、種類ごとに分かりやすく商品名が添えられています。

右端のショーケースには揚げかまぼこが並べられ、気軽に一本二本と選べそうな感じです。
聞くとそれらは、注文を受けてから揚げてくれて、揚げたてをすぐに楽しむことができるようになっているとのことです。

そのまま横の戸の外にはお客さん用のトイレがあり、食べ歩く人も、遠方から車で来た人も安心して利用できるようになっています。
店には、平日の昼間にもかかわらずひっきりなしにお客さんが訪れていました。
この日ほんの15分の間だけでも、老夫婦二組、若い男性、老婦人と後から入ってきたそのご主人、年配の女性、若いカップル……と、とにかく途切れません。
ほとんどの方は店舗向かいの駐車場に車を止めて来店しているようでしたが、歩いてきたような人もありました。
店員さん二人が、次々に訪れるお客さんにてきぱきと対応していました。
お店の左奥には籠清の歴史を紹介するパネルが数枚ありました。
どれも時代を感じさせる褐色の写真です。

その手前には地ビールなどの地元商品。
ここに来れば、宵のお酒におつまみがいっぺんに揃うようです。

地酒などの向かい側には、これまた酒の肴にもぴったりのわさび漬けや、スーパーでも見かける箱入りの詰め合わせなどが並んでいます。
籠清の店内は広々として無駄がなく、清潔です。
間隔を空けて整然と、丁寧に品物が陳列されているために、一見すると品数が少なくも思えますが、実際には選ぶのも楽しい、いろいろな品が取り揃えられていました。

颸(すずかぜ)とわさび漬けを購入
最初から、晩酌にちょうど良いかまぼことわさび漬けを購入するつもりで来ていましたが、お店の造りもかまぼこ、酒、わさびとうまい具合に陳列されているので、もう頭の中で、かまぼこを切って食卓に並べた様子が浮かぶようでした。
選んだかまぼこは颸(すずかぜ)の紅です。あともちろんわさび漬けも。

袋は紙とビニール袋から選べるようになっていて、保冷剤を一つつけてもらえます。
値段は、税抜きで颸(すずかぜ)が2,000円、特選わさび漬けが460円、手提げ袋が10円でした。(2026年8月)
かまぼこを切るコツ
かまぼこと言えば毎年お節料理に入れるのに、キレイにまっすぐ切れなくて苦労するので、今日は折角本店まで来たのだから、何かかまぼこを切るコツを教えてもらえないかと思い、
「かまぼこをまっすぐ切るコツはありますか」とたずねてみました。
すると店員さんは「さあ、意識したことがありませんでしたが…」と笑いながら、飾り切りのパンフレットをひとつくれました。
特にコツが無いのなら、単に包丁の研ぎ具合のせいかな、と思いながら、許可を得て何枚か店内の写真を撮らせてもらってお店を後にしました。
籠清本店 基本情報
■所在地
神奈川県小田原市本町3丁目5番地13号
■電話
0465-23-4530
■営業時間
9:00〜17:00
■定休日
元旦
■アクセス
小田原駅東口から徒歩12分
箱根方面行バス「幸町」下車徒歩2分
(店舗前に、バスも入れる大型駐車場あり)
※小田原駅から若い男性の慣れた足なら12分程で行けます。道すがらは見どころも多く、信号もあるので、あれこれ見ながらゆっくり行くと、15分から20分くらいはかかりそうです。
籠清、おいしいよね
8月の暑い日だったので、帰り道に小田原城前の三の丸ホールで一休みしようかと思ったのですが、月曜のこの日は三の丸ホールは休館日でした。
小田原散策時に、三の丸ホールはリフレッシュできるとてもいいスポットになっているので、うっかりしたなあと思いつつ通り過ぎると、おばあさんが一人、私と同じように休館の立札を見て中を覗き込んでいました。
三の丸ホールから横断歩道を渡り、学橋近くのベンチに座って、買ったばかりの籠清の写真を撮っていると、「横、いい?」と声がかかりました。
振り返ると先ほどのおばあさんで、汗をふきながらベンチに腰をおろし、「折角来たのに、三の丸ホールはお休みだって」と言いました。
聞けば、町まで出るついでに、知人に頼まれていたチケットを買いに来たのだそうです。
「暑いのに、残念でしたね」と言うわたしの手に籠清の紙袋があるのを見て、おばあさんは「それ、おいしいよね」と笑いました。

真夏の保冷剤は頑張ったけれど
真夏に寄り道をしながら1時間半ほど歩いたので、パリッと綺麗だった紙袋の底面は、保冷材の結露で少しばかりふやけましたが、持ち帰りには何の問題もなく、自宅に着いた時もかまぼことわさび漬けは常温よりも冷えていました。
でも、帰り道の条件も千差万別ですし、近年の夏の暑さはこれまでと同じ感覚でとらえることができません。
今回入れていただいた保冷剤だけでは、なるべく早く帰らなきゃと思ってしまったので、次に籠清にかまぼこを買いに行くときは、保冷バッグや保冷剤を用意して行ってもいいかと思いました。
わさび漬けをたっぷりのせて
さて、家に帰って開けてみると、籠清の颸(すずかぜ)はこんな感じです。

開けた瞬間に強く魚の匂いがするわけではありません。気にして嗅いでみると、そこはかとなく魚の練り物らしい、いい匂いがする程度。
これなら、お節料理のお重に入れても、他のお料理との匂い混じりが気になることはなさそうです。
そして、老舗のかまぼこを買ったときの小さなお楽しみが、早速目に入りました。
板に押された「籠清」の美しい焼印です。

普段は気にしたことがありませんでしたが、今回は改めて大きさも測ってみました。
- 縦:約12.5cm
- 横:約6.3cm
- 高さ:約4cm
でした。
※包装紙や板などは含めずに測っていますので、公式に表示されているサイズとは異なる場合があります。
最近はスーパーで買ったかまぼこを食べることも増えていたので、久しぶりにこうして眺めてみると、つやがあり、ふっくらと盛り上がった姿がとてもきれいに見えます。
さて、先ほど教えてもらった通り、特に「切るコツ」はないようなので、とにかく集中です。なるべく包丁をまっすぐに入れることだけを意識して、切ってみました。

かまぼこの食べ方はいろいろありますが、今回はやっぱり、わさび漬けを合わせていただきます。
まずは少しだけ。
かまぼこの弾力のある食感に、わさび漬けの風味が加わります。
辛さを確かめてみると、思っていたよりもマイルドで、かまぼこの味を邪魔しないやさしい辛さです。
そう思ったら、次は思い切って、わさび漬けをたっぷり。
やっぱり、この食べ方がいちばん好きです。
颸(すずかぜ)は、口に入れるとつるりとなめらかな舌ざわり。そのあと噛むと、しっかりとした弾力があります。
とはいえ硬いわけではなくて歯切れがよく、弾力のあとに潔く切れるような心地よさがあります。
わさび漬けは、単体で食べるならもう少し辛くてもいいかなと思うものの、かまぼこと合わせるならこのくらいのマイルドさがちょうどいい。
欲しいのは刺激ではなく、伝統的なかまぼこの柔らかな海の味。
その優しい風味に、わさび漬けが深みを添えてくれるからです。
白い身の端に、ほんの少しだけ醤油をつけるのも贅沢。
飲める方なら、お酒は欠かせないでしょう。
わさび漬けが余ったら、白いご飯にのせてもまた格別です。
今回私が購入した「颸(すずかぜ)」とは商品が異なりますが、籠清のかまぼこはネットショップでも購入できます。
まとめ

籠清本店を訪れた体験を通して、小田原の老舗かまぼこが持つ、変わらない良さを改めて感じられた一日でした。
まっすぐな通りにふいに現れる落ち着いた店構え。
丁寧に陳列された品々。
そして木戸を開けては、ひっきりなしに訪れる常連客や観光客の姿。
200年以上続く歴史の先に、今も変わらず愛され続けている店であることが自然と伝わってきます。
購入した颸(すずかぜ)かまぼこは、つるりとした舌ざわりにしっかりした食感、多めにのせたわさび漬けとの相性も抜群でした。
「籠清、おいしいよね」
ええ確かに、おいしい。
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